民話研究センターが『民話』第20号を刊行しました。タイトルのほかに「やまがた民話講座(二十)」と「編集後記」を紹介します。
これからの語り 大島廣志国学院大学非常勤講師
喋る人、柳田國男 森岡卓司総合文化学科講師
山形民話資料紹介⑳『私の民話ノート』大友義助著 武田正民話研究センター顧問
昔話・語りの世界(一)牛方と山姥-みちのくの母・海老名ちゃうさん(下)- 武田正民話研究センター顧問
民話講座(二十) 小僧改名 武田正民話研究センター顧問
昔話の世界①「異能の兄弟」の物語 川越ゆり子ども学科講師
やまがた民話講座(二十)
和尚と小僧の話は、民話の中に非常に多い。江戸時代まではというよりは、今も和尚はその土地の知識人なのだが、その和尚が小僧のとんちにやられるというのは、昔話を聞き慣れた十歳ぐらいの聞き手になれば、楽しいこと限りなしだろう。
小僧たちが部屋に戻って、横になるのを待って、和尚は、囲炉裏に酒を温め、灰を掘って、餅を焙り、煮物で酔うのが楽しみなのを知った小僧三人は、和尚に「改名」を申し出る。「ぐづ・ぷっぷ・ええかん」にしてくれという。それはおもしろいと、改名を認める。
さて、次の晩、和尚は例の通り、煮物の鍋を囲炉裏にかけると、「ぐづぐづ」と煮える。すると、「ぐづ」は「はーい」と出て行く。餅が焙れてきたので、取り上げて、餅についた灰を「ぷっぷ」と払うと、「はーい」と返事をして出てくる。
酒がちょうどよく燗がついたので、「ええかん」と盃をとると、「はーい」と返事して三人の小僧が出てきたので、和尚は仕方なしに三人に馳走したという。
同系の「和尚と小僧」はこの他にも「焼き餅和尚」「餅は本尊様」「小僧の小便」など十種にあまる小僧のとんち話がある。 (武田 正)
編集後記
○『民話』第二十号をお届けします。
○大島廣志先生は口頭伝承がご専門で、ご著作に『民話-伝承の現実-』三弥井書房)などがあります。今回は、平成十九年度の公開講座でのご講義をまとめて下さいました。「方言の語り手」の時代になっていくであろう今後の語りのあり方について、ことに日本の昔話の語りのあり方について考えさせられます。
○総合文化学科の森岡卓司先生からも公開講座でご講義いただいた原稿を頂戴しました。「百物語」をキーワードに柳田國男の意外な側面について執筆くださいました。
○伝承の語り手像を紹介する連載「昔話・語りの世界」は、海老名ちゃうさんの後編です。語りのレパートリーの多さやジャンルの幅広さに、海老名さんご自身の生き方や人間関係が色濃く影響していることがうかがわれる内容になっています。
○今月号から、川越ゆり先生の新連載「昔話絵本の世界」がスタートしました。現代の大人や子どもと昔話を結ぶ役割のひとつとして、本や絵本は重要な役割を担っています。様々な作品を紹介しつつ、昔話の世界の奥深さに触れていく予定です。他の連載同様、ご愛読ください。
○平成十九年度公開講座に多数ご参加いただき、心より感謝申し上げます。会報へのご意見・ご希望など、お待ちしております。今後も、皆様の暖かいご支援をよろしくお願いいたします。 (スタッフー同)
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