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阿部康子総合文化学科教授の文章が国際交流協会の機関誌に掲載 

 阿部康子総合文化学科教授の文章が国際交流協会の機関誌「エアリィ」№56のオピニオンコーナー(3頁)に掲載されました(資料は、財団法人山形県国際交流協会の許可を得て転載)。
 「ひと粒の種の実り」というタイトルで、日本語副読本「山形の民話」作成、インドネシア・パプア州でのモデル授業、今後の支援活動などに触れています。

 民話を日本語指導の副読本にという、この発想のきっかけは、平成17年度に、山形短大が県から受け入れたインドネシア・パプア州の研修生アグスティナ・アユアン・ヴィンダリンさんとの触れ合いがきっかけとなりました。日本語の教師であり、幼い子ども二人を実家に預けて来県した彼女は非常に意欲的に日本語を学んでいました。パプアにはどんな昔話があるか教えてほしいと彼女に話したとき、すぐには答えられなかったこと、また、山形の民話研究の成果を知るにつれてその重要性に気付き、「良い昔話は、語ることによって、その魂が受け継がれていく」と、スピーチコンテストのテーマに取り上げました。そして、民族の大切な歴史や文化を子どもたちに伝えていくためにパプアにもたくさんある筈の民話を集めたい、子ども向けの教材にする時は、日本語訳の添削を手伝ってほしいと私に言いおいて帰国しました。少し前までの人々の暮らしの中から生まれ、語り継がれた生き生きとした昔話の持つ力が彼女を動かしたのではないでしょうか。
 今回、CLAIR(自治体国際化協会)のモデル事業として採択され、県国際交流協会が発行した「山形の民話」はこうして昔話を通して蒔かれたひと粒の種が、多くの方々の力添えで実を結んだものです。企画段階からほぼ1年に及ぶこの事業は、民話の選定から始まりました。山形独自に残るもの、日本を知らせる文化的背景があるもの、国を超えて共通するものなどに留意しながら編集会議を重ね、パプアの日本語授業の実態に合わせた、日本語、ローマ字、インドネシア語併記の副読本は、CDとともに完成しました。12月には、州都ジャヤプラで第二外国語として日本語を学んでいる高校生の代表80名に副読本活用のモデル授業、日本語担当教員の研修を行ってきました。
 現パプア友好協会の一員として私が初めてパプアを訪れたのは1997年でした。県の技術研修員が持ち帰った日本語への興味が高まり、ぜひ、高校に指導に来て欲しいとの声に応えてのことでしたが、校長先生まで楽しそうに授業を受ける日本語熱に驚くと共に、現地の教員養成が必要だとの感想を持ちました。2005年に訪れた時には、経済環境の変化に伴う人材育成への州政府の意気込みを感じ、3度目の訪問となった今回は、教育の投資効果が表れるのには時間はかかりますが、山形短大がお引き受けした3年間に渡る日本語教師の研修成果が着実に根付いていることを実感しました。CLAIRが先駆的と高く評価したこの事業を、自国の誇りとなる「パプアの民話」版ができるまで、ぜひ継続して支援したいと思います。どの民族にも伝えるべき大切な歴史や文化があり、その一つ、民話を通して伝わる人々の心の物語の交流が、姉妹県州の次世代をきっと結びつけてくれると信じているからです。

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